2011年05月31日

陸前高田市とクイーンズランド州

今日のブリスベンの日刊紙クーリエ・メール紙に、小さい記事ではありますが、クイーンズランド州が日本で観光促進キャンペーンを実施中だ、と書いてありました。

ブリスベンが州都のクイーンズランド州には、ゴールドコースト、グレート・バリア・リーフ、ケアンズと、オーストラリアの代表的な観光地がいくつかあります。 観光業は、農業や鉱業と並んで、この州の主要産業なのですが、ここ数年、日本からの観光客数の落ち込みが激しかったのに加え、今年初めの水害やサイクロンでさらに打撃をうけ、必死の立ち直りをはかっているところです。

記事によると、4年後までに、ケアンズ、グレート・バリア・リーフへの日本からの観光客数を、現在の2倍の211,700人(1年間で、でしょうか?いつ、という断り書きがないので分りませんが)まで増やしたいとのこと。

グレート・バリア・リーフがいくら美しくても、クイーンズランド州の観光当局がどんなに頑張っても、もともと景気がぱっとしないところに、東日本大震災と原発の問題でてんてこ舞いの日本にそんな期待ができるものかなあ、というのが率直な感想です。

この記事とは別に、今晩、日本のNHKにあたるオーストラリアのテレビ局ABC放送が、東日本大震災に関する30分番組を放送しました。”Foreign Correspondent(外国特派員)“という週1回の枠で、特派員が持ち回りで様々な国のいろいろなトピックについて取材する番組で、今晩は陸前高田市についてでした。

実は、”Foreign Correspondent”は昨年、陸前高田市をクジラ問題の関連で取材しています。今晩の番組は、同じ特派員が、昨年の取材の際に知り合った人々を、今回の地震と津波の後に訪ねる、という構成でした。番組では、昨年撮影した、古い街並の並ぶ陸前高田市と楽しそうにお酒を酌み交わす人たちの映像も流れました。そして、がれきの山と化した津波の後の陸前高田市の様子と、宴会に出席していた人々が親戚や家族、家財を失い、今どうしているか、何を考えているか、ということを取り上げていました。

地震と津波の映像は、何度も何度も繰り返しテレビで見ていますが、3ヶ月近くたって見ても、ショッキングなことに変わりはなく、特に昔ながらの木造の家が並び、桜が咲いていた地震以前ののどかな陸前高田市と比べると、今でもこんなことが実際に起こったとは信じられないような気がしました。

番組は、日本は戦後のがれきの中から立ち直ったが、今また、同じようにがれきの中から立ち直らなければならない、という風に締めくくられていましたが、そんな大変な時に、グレート・バリア・リーフに現在の2倍の日本人が果たして訪れるだろうか、と思いました。

クイーンズランド州が観光業の建て直しに必死なのは分りますし、グレート・バリア・リーフを始め、オーストラリア国内には美しいところがたくさんあります。しかし、短い滞在期間にめいっぱい見て、遊び、おいしい物を食べ、上質のユニークな物を買い、現地の人からも親切にしてもらって、楽しい思い出を持って帰りたい、という日本の旅行者の期待に応えられ無かった為、すでに観光客数が激減していたところに、日本の社会や経済の現状がこんな具合では、新たに夢のような旅行プランを打ち出さない限り、来てくれとお願いするだけでは目標達成は難しいのでは、と思います。

posted by OZK at 22:12| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月30日

作品を梱包

メルボルンで参加するグループ展用の作品を梱包しました。
明日、郵便局から小包として送れば、締め切りの9日までにはゆうゆう届く筈。

額は、IKEAの無地の木の額を自分で塗装し、マットとガラス代わりのアクリル板は、額装屋で切ってもらいました。

家の近所にある額装屋に電話して、お願いできるかを聞き、翌日寸法を計っていって、その場で切ってもらいました。これまでは、マットを切ってもらうのだけでも、3日ぐらいは待たされていたのですが、この店ではマットもアクリル板も、「5分ぐらい待っててくれる?」と言われて、待っているうちに切ってもらえました。ちょっと高いような気もしましたが、締め切りぎりぎりで額装しなくてはならない時などにお願いできる、心強いお店を見つけたような気がしてうれしいです。

今日、額と作品、マット、アクリル板などを全て合わせて、展示できる形にしたのですが、ひとつだけ問題が。

額が歪んでいました。

買ったときにすでに歪んでいたのか、家に置いてある間に歪んだのか?安い物なので、もともと多少歪んでいたとしても、文句も言えないような気がしますが。

とは言え、なんとか、マットもアクリル板も額の中に納まり、一安心。

その後、バブルラップ(例のプチプチする梱包材です)や、段ボールなどでぐるぐる巻きにして、小包を作り、梱包は完了です。

****

色々な事に気を取られている間に、

ドイツのハンブルグ在住の日本人アーティストさんからの呼びかけで参加したメール・アート展”Tegami−日本から来たアーティストの手紙”展は終わってしまったようです。盛況のうちに幕を閉じたのだったらいいな、と思っています。

http://hamburg-projekt.blogspot.com/
posted by OZK at 13:00| Comment(0) | 展示・販売 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月29日

アルミニウム・エッチングの材料手配

先週の木曜日だったか金曜日だったかに、アルミニウム・エッチングに必要な材料を揃えに行きました。銅や亜鉛板ではなく、アルミニウムの板を版として使うのですが、3月に講習会に参加した時に、この手法の利点としては、腐食液の毒性が低い、材料が比較的易しく入手でき廉価だ、思いもかけず面白い腐食の効果が得られることがある、ということを言われました。

注意を要する点としては、銅板の場合と比べると、腐食の度合いのコントロールがしにくい、微妙な表現をするのには適してないかもしれない、ということを言われました。

さて、先週ですが、版にする為のアルミニウム板の調達、ということで、工房の仲間に教えてもらったアルミニウム専門店に行きました。日本の材木屋さんの材木がアルミニウム板に置き換わった店を想像してもらえばいいと思いますが、わたしが行った店は、町工場といいたいような規模の作業所や、様々な原材料の販売業者、一般の商品の卸売業者などが集まった地区にありました。

事務所に入ると、体の大きな、一見愛想の良くなさそうな人がいて、パソコンの画面から、上目遣いにちらっとこちらを見て「何か?」。

こういうお店は、基本的には、建設・建築関係者などのプロの人たちが出入りするところなので、スタッフの人も、意地悪なのではなくて、私のような“街のおばさん”がニコニコしながら入って来るというのには、慣れていないだけなんだろうと思います。

と、解釈して、「いらっしゃいませ〜」とにこやかに迎えてもらえなくても、慌てず騒がず、このあいだ工房のワークショップで腐食した葉書大のアルミニウム板を出して、「これと同じのが欲しいんですけど」。

厚み計ってもらい、表面の具合をチェックしてもらって、結局、厚さ0.6ミリのこのタイプの板ではないか、というのを教えてもらいました。買い方としては、最低購入量の1シート以上を買って、それをこちらから指定する大きさに切ってもらい、取りに行くか、そうでなければ、配達してもらうこともできるそうです。

1シートは、縦1メートル以上、横2メートル以上の大きさで、値段は$40弱、プラス消費税です。日本円で、4,000円弱というところです。これに、裁断料が別にかかります。

アルミニウムの値段はこんなふうに比較的安いですし、腐食の特徴からいっても、サイズ的に大きく、大胆なものを作るのに向いているかな、と思います。今回は1シートを、葉書大にも切ってはもらいますが、もっと大きなサイズの板も何枚か取ろうと思っています。

アルミニウム販売店の帰りに、ホームセンターに寄って、腐食液の材料となる硫酸銅を買いました。どういう箱、袋にはいっているかなど、まったく見当がつかなかったので、広いセンターの中を探しまわることしばし、疲れました。次からは、さっとお目当ての棚に直行して、もっと簡単に買えると思います。腐食液は、この硫酸銅に食塩と水を混ぜて作ります。

早く板を注文して、製作にかかりたいけれど(製作というより、まず、腐食の具合や、アルミニウム板の特徴をつかむ為にテストする、という感じでしょうか)、まず、いまとりかかっている版を仕上げてからにします。楽しみです。
posted by OZK at 18:43| Comment(0) | 紙・インク・道具など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月28日

ブリスベン、アート散歩

シドニーで版画を勉強していたときに知り合いになった友人が遊びに来たので、1日、ブリスベン案内をしました。題して“ちょっとアートなブリスベン”。

朝10時、まずは街の中心のブリスベン川沿いのEagle Street Pierにあるカフェで、パンケーキとコーヒーの朝食を一緒にとりました。3段重ねのパンケーキの上に、クリームとアイスクリームがのった、おいしく、かつ、かなりカロリーの高そうな代物ですが、これを食べておけば、たくさん歩いても大丈夫そう。その後、群生しているマングローブの間に作られた、川沿いの遊歩道を歩き始めました。

ブリスベン市は、ブリスベン川で街が南北に分かれているため、両方を結ぶ橋が何本もかかっているのですが、昨日は、Good Will Bridgeと呼ばれる橋を渡って、川の南岸にあるサウスバンクという地区に行きました。この橋は、徒歩で渡る人とサイクリスト専用なのですが、橋の上にちゃんとしたカフェのスタンドがあります。今回は、休憩しませんでしたが、次回は是非、橋の上でコーヒーを買ってみようと思いました。

川を渡りきったところには、海洋博物館があります。博物館自体は以前住んでいたシドニーのものとは比べ物にならないほど小さいのですが、敷地内に、クイーンズランド州在住のティーンエージャー、ジェシカ・ワトソンさんが、2010年に世界最年少で単独無寄港の世界一周を成し遂げたときに乗っていたピンク色のヨット、エラ号が展示してあって、橋の上からもよく見えました。

そのあと、橋を渡ってすぐのところにある、グリフィス大学の美術学部にあたるクイーンズランド・カレッジ・オブ・アート(Queensland College of Art )の画材専門の売店をのぞきました。 ここは、市内のフォーティチュード・バレー(通称、ザ・バレー)という所にあるオクスレイズ(Oxlade’s)という画材専門店の支店で、売店とはいえ、なんでも置いてあります。友人は、ドライポイント用に小さなプラスチック板を買いました。

そして、そのまま川の南岸、人工の砂浜のあるパークランズを進みます。ここは、金曜日の夜から週末のマーケットが開かれるので、もしかして気の早いお店がもう開店しているかと思い、のぞいてみましたが、残念ながら、どの店もまだ準備中でした。

それから、日本人写真家のピンホール・カメラによる写真展を開催中のクイーンズランド・センター・フォー・フォトグラフィー(Queensland Centre for Photography)に行く途中で、オーストラリアの作家のいろいろなクラフト作品を展示・販売しているブティック(m)Artに寄りました。

ピンホール・カメラ展に参加している写真家の中に、田所美恵子さんを見つけ、懐かしくなりました。この方は、直接お目にかかった事はありませんが、もうかなり前に、東京で、私が初めてピンホール・カメラについて知るきっかけとなった個展をされていた写真家です。この方の書かれたピンホール・カメラ入門の本も持っています。

ひとくちにピンホール・カメラと言ってもいろいろな表現方法があるものだ、と思いながら、ちょっと暑くなってきたので、近くでボトルのアイスティーを買い、一息つきながら、友人にアルミニウムをエッチングする際の腐食液の材料や、腐食の仕方を説明しました。

私は、ブリスベンもかなり寒くなってきたと思っていたのですが、友人は、1000キロ弱南にあるシドニーに比べると、ずっと暖かく感じると言っていました。日差しも、ブリスベンの日差しはまぶしいとのこと。

その後、州立美術館に行き、美術館のカフェでサンドイッチの遅い昼食をとって、売店へ。アート関係の本を探しました。時間も遅くなって来たので、展示は、見たければ、次の日にでも友人に1人で来てもらう事にして、川の北側、会社や店の集まっている地区の真ん中フォリオ・ブックス(Folio Books)という本屋に向かいます。この本屋は、独立系の書店で、美術関係の本が充実しているので、最近近くに行く用事があれば必ずのぞく店です。友人にぜひ紹介したいと思っていたので、また、とことこと、今度は別の橋を渡って対岸に戻りました。

ちなみに、州立美術館では8月7日まで、特別展としてエセル・キャリック&Eフィリップ・コックス展を開催中ですが、アボリジニの絵画を含む常設展もあります。美術館は天井の高いひろびろとした建物で、建物内部に池のようなものがあり、屋外から差し込んで来る光も明るく、気持ちのいいところです。また、州立図書館をはさんで隣接している州立現代美術館では、6月11日から、パリのポンピドー・センターの所蔵品を展示するシュールレアリズム展が予定されています。シュールレアリズムの方は、オーストラリア内では、この美術館だけでの開催となります。

いつもはメールでお互いに、こんな物見つけた、あんなところに行ったとは伝えあっているのですが、実際に見てもらえる機会があって良かったです。かなりたくさん歩きましたが、楽しんでもらえたかな、疲れなかったかな、と思いながら、友人の宿泊先の近くにある、エッカーズレーズ(Eckersley’s)という別の画材屋で別れました。
posted by OZK at 07:34| Comment(0) | 豪州観光ガイド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月25日

右脳のしわざ?

昨日の夜から、彫刻刀を握って、リノカットを彫り始めました。いつも作っているようなものとは、かなり違った傾向のものになりそうです。

下絵をカーボン紙で移して、最初はそれに沿って彫っていたのですが、彫っているうちに、ここにこんなものを足したらどうだろう?とか、ここは、彫ろうと思っていたけれど、残しておいた方がいいかもしれない?と、新しい考えも浮かんで来て、彫り上がりは下絵とかなり違うものになりそうです。

製作をしていて面白いのは、こんな時です。集中して来ると、どこにそんなアイデアが眠っていたのか、と思うようなことが、ぽっと頭に浮かび、それにひきずられるように、また別のアイデアがぽん!それにくっついてきたように、また別のアイデアがぽん!と出てきます。頭の中だけで構想を練っている時や、鉛筆でスケッチしているときとは、脳の別のところが働いているかのようです。

こういう脳のことって、誰か研究しているのでしょうか?

よく、左脳・右脳の働きの違い、なんていうのを聞きますが、
素人考えで勝手に分析すると、

私の場合、頭の中だけで考えているときと、ラフスケッチを描いているときは、論理的な左脳の働きで、アイデアも比較的おとなしめ、というか、ある意味抑制がきいている、というか、ききすぎていて面白くないとも言えるのですが(もっとも、今彫っている作品の場合は、水害とか地震、津波、などショッキングな出来事が立て続けに起こった後なので、気持ちも混乱していたのか、下絵の段階でも、あまり論理的ではなく、おとなしめでもなかったのですが)

版作りに入って、彫ったり、削ったり、腐食したりという職人さん的な仕事に移ると、ある時点でスイッチが入って、どこか奥の方から思いもかけないような考えがでてくるような感じがします。これは右脳の働きでしょうか?集中すれば集中するほどアイデアの出方が加速して、アイデア自体も大胆になるような気がします。きっと、これまでに見たり、聞いたり、体験したりしたことが、無意識のうちに記憶されていて、それがブレンドされてでてくるのだろうな、と解釈しています。

民族舞踊や音楽で、集中し夢中になっている時にトランス状態になる、というのを聞いたこともありますが、そういうのも分るような気がします。スイッチが入って、どんどん加速して行ったら、どこかでねじが吹っ飛んでしまう、というか、そういう感じなのではないかと、思っています。しかし、自分自身のこととなると、いい作品は作りたいですが、そんな状態になっても困るなあ、と常識的な考えにとらわれてしまう、つまらない私でもあります。

長いこと気分が乗らず、実際の製作にとりかかれないで来ましたが、こうして仕事をいったんはじめて、こうしたら、ああしたら、とアイデアが出てくるようになれば、大丈夫だな、と人ごとのように、ちょっと安心しました。
posted by OZK at 23:37| Comment(0) | 版画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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